スクーターお手軽カスタム ウエイトローラー交換で加速力アップ

 

日常の移動手段として重宝される無段変速式スクーター。今回は、そんなスクーターのお手軽 駆動系カスタムを紹介したいと思います。スクーターの駆動系カスタムと言えば、ドライブプーリー交換などが定番ですね。ドライブプーリーの大径化やベルトを長いタイプに交換してギアレシオをワイド化すれば、最高速アップが可能です。しかし、125ccクラスなら ノーマルでも100km/hくらい出せる実力がありますので、一般道においては最高速を意識する必要はありません。それよりも加速力をアップする方が使い勝手が良くなると思います。ストップ&ゴーを繰り返すような走り方では より効果的です。そこで、今回は低コストで加速力アップの効果を体感できるウエイトローラー交換をやってみたいと思います。

車種はスズキ アドレスV125Sです。小排気量のスクーターなら、メーカー・車種が違っても、駆動系の構造は殆ど同じです。

アフターパーツメーカーのドライブプーリーは、ウエイトローラーガイド溝の形状見直し等により 加速フィーリングの向上も期待できますが、今回は あえて低コストに拘ってウエイトローラー交換のみで加速力アップを図ります。

 

 

 

ウエイトローラー交換手順
早速作業開始。まずはキックペダルを外します。そのまま外してしまうと角度が分らなくなるので、マーキングしておきます。キックペダルは脱落防止の為、ボルトを完全に抜き取らないと外れないようになっています。ボルトの抜き取り・締め込時に、スプライン部に引っかかってネジ山が潰れやすいので注意しましょう。

 

 

次にクーリングダクトを外し、5箇所のボルトを抜いてクランクケースのアウターカバーを外します。クーリングダクト内に隠れているボルトだけ少し長いです。

 

 

続いて、クランクケースカバーを留めている6箇所のボルトを抜き取ります。奥まった箇所のボルトは差込角 1/4インチ(6.35mm)のソケットか、ディープソケットを使用しないとアクセスできません。6箇所のボルトを抜き取ればクランクケースカバーが外れます。コードクリップやワイヤークリップを共留めしているボルトがありますので、復元する時に忘れないようにしましょう。キレイに外れる場合は、ガスケットも外しておいたほうが作業しやすいです。

 

 

プーリー脱着用の工具を使って、ドライブプーリーを取り外します。

 

 

この2枚がドライブプーリーです。背面にフィンが付いている方がフィクストドライブプーリー。プレートと一体になっている方がムーバブルドライブプーリーです。この2枚の間にベルトが挟まります。

 

 

ムーバブルドライブプーリー内部のガイド溝にウエイトローラーが入っています。エンジンの回転数が上昇して、遠心力でウエイトローラーが溝に沿って外側に移動すると、背面のプレートが押され、膨らむようにムーバブルドライブプーリー&プレートの厚みが増します。すると、ベルトを挟んでいるスペースが狭くなって、ベルトがドライブプ―リーの外周方向に押し出されることで高速側に変速していく仕組みです。つまり、ウエイトローラーを軽くすると、変速が始まるエンジン回転数がより高回転へ移行するため、高いエンジン回転数を維持したまま加速できるということです。

 

 

ちなみに、右側のドリブンプーリー(遠心クラッチが付いている方)は、センタースプリングの力でプーリ―を押さえつけて、ベルトの滑りを抑制しています。また、このセンタースプリングの働きにより、エンジン回転数が下がってくると、勝手に低速側にシフトしていく仕組みになっています。

 

 

ウエイトローラーは車種によって使用する個数やサイズが異なります。アドレスV125Sの純正ウエイトローラーは、直径20㎜・幅15㎜サイズ、19g ×6個です。車種によっては3個や8個などの場合もあります。当然ですが、サイズは同じモノしか使用できませんので、よく調べてから購入する必要があります。

通常は全て同じ重量のウエイトローラーが使用されますが、セッティングの際は、異なる2種類の重量を併用する場合も有ります。例えば、アドレスV125Sの場合なら 17g のウエイトローラーを持っていなくても、19g ×3個と15g ×3個を使用(バランスをとるため1個ずつ交互にセット)すれば、トータルで17g に設定することが可能です。ただし、17g ×6個の場合と比較すると、走行フィーリングが微妙に違ったり、ウエイトローラーが偏摩耗する原因となりますので、2種類の併用はセッティング段階にとどめ、最終的には同じ重量のウエイトローラーで揃えた方が良いでしょう。アドレスV125Sの純正ウエイトローラー重量は19gですが、今回いろいろ試してみた結果、ノーマル車であれば 15g 前後が好印象です(詳細は後ほど)。

 

 

一般的に ウエイトローラーは取り付ける向きが決まっています。基本的な構造として、金属製のウエイトを樹脂製のカバーで覆うようなカタチになっていますが、樹脂製カバーが回り込むように覆ってある部分をストッパーと呼び、このストッパーが付いている側が、プーリーの回転方向に対して逆向きになるようセットします。これは、プーリーの回転力で樹脂製カバーからウエイトが抜けてしまうのを防ぐためです。ちなみに、両サイドにストッパーが付いた、向き指定が無いタイプもあります。

最後に、ムーバブルドライブプーリー内部を清掃し、ウエイトローラーに専用グリスを塗ってからセットします。あとはドライブプーリーのベルト接触面をしっかり脱脂して、元通りに復元すれば作業終了です。復元の際も油分が付かないよう十分注意しましょう。油分が付着すると、ベルト滑りの原因になります。

 

 

 

ウエイトローラー交換前後の加速比較動画

動画の例だと、10g、15g、19g(純正は19g)で並走した場合、三者の中で一番早い10g 仕様が60km/hに達した時、15g 仕様は約1.0m後方を、そこからさらに2.5mほど後ろを19g(純正) が走っている計算になります。そう考えると、それほど差が無いようにも感じますが、19g(純正)は、40km/hあたりから加速が鈍ってくるのに対して、10g・15g 仕様は加速の落ち込みが少ないことがわかります。もしも 0-70km/h や 0- 80km/h で同じように比較をすれば、その差が顕著に表れるハズです。つまり、10g・15g 仕様が本領を発揮するのは、もう少し上の速度域という事になります。

10g 仕様はエンジン回転数のわりに速度が伸びませんので、ベルトが滑っている可能性があります。センタースプリングを強化品に交換すれば、ベルトの滑りが抑えられて 0-60km/h タイムは縮まるかもしれませんが、エンジンパワーがノーマルのままでは高速域において変速の妨げとなり、最高速低下などの弊害が出ます。また、10g仕様は 全開加速こそ早いですが、一般道において多用する30km/h~40km/hくらいで走行するにも、大きくスロットルを開ける必要が有るので、低速走行時のスロットル操作と加速感がリンクせず、違和感を感じます。実用域での扱い難さから、純正に比べてウエイトローラーが軽過ぎるのはオススメできません。一般道における使い勝手を考えると、やはり15g 前後が最適だろうと思います。ともあれ、1000円前後で手に入る小さな部品で、こんなに走りが変わるのは面白いですね。

 

 

ウエイトローラー交換によるデメリット
ウエイトローラーを軽くすることによって、従来よりも走行中のエンジン回転数が高くなるので、燃費は必ず低下します。それから、ウエイトローラーは、ただ軽くすれば良いというワケではありません。極端に軽くしてしまうと、上記のように走行フィーリングが悪化したり、プーリーが最終段階まで変速せずに最高速が低下することもあります。また、エンジン回転数が高くなれば、相応の熱対策も必要になりますので、やはりウエイトローラーは少し軽くする程度が良いでしょう。やり過ぎはトラブルの元です。

 

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